怒っているときは、痛くないんだね。
ハート、中学3年生。
修学旅行、進路希望と、
重要な提出物が続いた。
同時に配られて、提出期限が違った。
修学旅行関係が先で、
進路に関することが、後。
先に、修学旅行に向けて、
必要になる書類の記入が終わった。
でも、進路については、
ハート、本人が書くしかない。
目立つ場所に置いて、ハートに自覚させて、
なくさないよう、
修学旅行の書類と一緒にした。
のが、いけなかった。
修学旅行の書類を、無事提出して。
数日後。
進路希望の締め切り前日。
先生が言った。
重要なものなので、忘れた人は、
取りに帰ってもらいます。
どこに納めてしまったのか。
進路希望の用紙が見つからない。
となると、もう。
素直に、なくしたことを伝えて。
怒られても、1日遅れて提出するしかない。
のに。
重要な書類だと、念押しされてるハートは。
その書類なしでは、学校に行けない。
なんでないんよ!!!
物に、八つ当たりしながら、探す。
探し続ける。
探すことしか、選択肢がなくなる。
そのうち、遅刻する時間になると。
今度は。
時間に遅れて、教室に入れない。
学校に行けない。
という、壁がそびえ立つ。
もう、学校休むね。
母さんより、背が高くなった長男を。
小学生の、末っ子のように。
引きずって、学校につれては行けません。
学校に、体調不良で休むと、電話を入れ。
ハートを家に置いて、仕事へ行った。
仕事が終わって、担任の先生へ電話をした。
朝の出来事を話すと、
修学旅行の書類と一緒に、
白紙のまま、提出してたとの、ことだった。
すぐに、学校へ取りに行った。
早く確認しないで、気づかなくてすみません、
と、先生が言って、
確認しないで、提出して、すみません、
と、母が言う。
進路の紙を受け取り、
書けなかったら、学校で一緒に書きます。
子どもには、
先生が早く確認しなかったから、
いけなかったね、という話をします。
安心して、来てもらってください。
と、2つの、心配事に。
対応してくれると、言ってくれました。
ハートの不安を、分かってくれる。
本当に、いい先生です。
家に帰って、ハートに渡し。
母さんが、確認しなかったからだね。
ごめんね。
先生も、事情を知ってるから、
安心して、学校に行ってね。
書けたら、頑張って書いてみて。
何を書いても、いいと思うよ。
書けなかったら、先生が一緒に書くって。
白紙でもいいから、持って行ってね。
はぁ。
学校に、行けばよかった。
いつだってそう。
学校に行かなかった後で、言う。
後からなら、冷静に。思う。
でもその時は、それしか考えられなくて。
行けなくなってしまう。
数日後、ハートが言った。
怒ってる時って、痛くないんだね。
壁を叩いたけど、痛くなかったよ。
言いながら、軽く壁を叩いてみている。
そうか、母さんが家を出た後で。
イライラを、ぶつけていたんだね。
そうか、痛くなかったのか。
怒ってる時って、それくらい。
異常事態なのか。