距離をおくことって、言っても。
感染予防の、ソーシャルディスタンスではない。
親子の、距離感だ。
長男ハート、中学一年生。
母ちゃんが何を言っても、ハイと言わない。
からかうように、踊ってくる。
無視しない所が、反抗期とはいえ、
かわいいと言えるが、かわいくない。
サッカー部に入部して、毎日出る洗濯物。
それを、出しもしないで、呆けとる。
最初のうちは、ハートに聞きながら、
母ちゃんが鞄から出し、洗っていた。
でも、いつまでも、それじゃいけない。
洗って欲しいものは、
自分で籠に入れなさい。
入れなければ、洗いません。
宣言したって、素直に言うこと聞きません。
はい、これでいい!!
部活の鞄ごと、籠に突っ込む。
鞄は?洗うの?
鞄も!!
スパイクも?
スパイクも!!
スパイク入れる袋も?
袋も!!
服も靴下も全部?
全部ぜんぶ!!
いや、洗濯機では、洗えませんから。
とりあえず、鞄から出して!!
鞄から出さないと、洗いません。
すると、鞄のものを、全部、
籠の中に、ひっくり返す。
仕方がないので、洗えないものを避ける。
毎日が、こんなことの繰り返し。
そして、毎日使うものは、夜に洗って、
朝までに乾かし、朝、持っていく。
そんな、朝の準備を手伝って、
たたんで渡したのだけど。
その日、帰って来たハートが怒っていた。
忘れ物があって、
部活に参加できなかったらしい。
母ちゃんが渡したら、
それで全部って、思うし。
母ちゃんが悪いんですか?
手伝わなかったらいいの?
手伝うのが悪い!!
じゃあ、自分で準備してよ。
と、言いながら。
乾いた、部活で使う洗濯物を渡すと。
苛立ったハートが、それを投げる。
そう、いらないのね。
と、言いつつ。
ハートのものを入れる、籠に入れたのだけど。
いらないのね。
に、引っ掛かってしまって。
苛立ったハートが、物を投げつけ始めた。
このまま、エスカレートして、
手が出る喧嘩になったら、
絶対に母ちゃんは負ける。
負ける前に、退散せねば。
と、鞄と鍵をもって、家を出た。
さぁ、ドライブだ。
時は夜。
次男ムーンは、連れて行きたかったけど。
1人が寂しい、ハートに丸め込まれた。
末っ子ライトは、空手に行っていて、
父さんは、送迎で出ている。
ご飯だけは、炊けているから、
夕飯は、適当に食べさせてくれるだろう。
レトルトのカレーがあったはず。
だから、子どもが寝静まる、
夜9時まで、家に帰らなかった。
真っ暗な、夜の田舎道で。
頭がどんどん、冷えていく。
子どもっぽいことを、してしまった。
距離を置くのに、
わざわざ、車で家をでることもなかった。
帰ったら、もう少し、優しくなれるかな?
いや、また、
反抗期のハートとの、ケンカは続くのだ。
でも、ちょっとは、優しくできるかな?