高校の文化祭があった。
長男ハートが、一次選抜を受ける予定だった高校だ。友達もたくさん、行っている。
ハートは、家で寝ていた。起きていてもきっと、行かないと言うだろう。
文化祭が、一般公開されるのは3年ぶりだ。母は、ずっと考えていた。ハートが中1になったら、文化祭へ行こう。どうせ、新しい環境へ抵抗のあるハートのこと。高校にも不安を感じるだろう。だから、文化祭に出かけて、少しでも抵抗感を減らしていこう。だけど、ハートが中学生だった3年間、文化祭が一般公開されることはなかった。
それだけが原因だとは、言わない。でも、してあげれなかったことは多い。
高校生になると、こんなにも立派になるのか、と、思いながら回った。ハートの友達もいた。その中に、ハートがいてもおかしくなかった。違和感などない。そんな未来があると、思っていた。
勉強してほしいとは、あまり思わない。ただ、二度と訪れない、学生時代を、楽しんでほしかった。
でも、楽しいかどうかを決めるのは、親ではない。ハートだ。楽しめないから、行けない。行きたくない。
末っ子ライトは、友達に引っ張られ、一緒に遊びに行った。次男ムーンは、合う友達がいなくて、マイペースに楽しんだ。
どこの高校に行こうが、構わないけど。とりあえず、下の子達には。抵抗感を減らしてあげたい。
そう思って、行った。
でも、なんか。自分の高校生活も、よみがえるようだった。
書けるような話題は、何もない高校生活だったけど、それでも二度と戻れない10代特有の何かがある気がする。
ハートがいつ動き出すかなんて、分からないけど。充電期間が必要だって、頭で理解してるつもりでも。
もったいないよ、もったいない。若いんだから、動こうよ。体が動けば、心もついてくるから。
と、思いながら。
ハートを前にすると、何も言えず。
にゃんこ大戦争の話題から。高校の文化祭行ったよ、同級生もいたよ。来年は、一緒に行こうと誘ったけど。行かないって。
それは、今は、その答えだよね。でも、来年は分からないよ。友達に会いに行きたくなるかもよ。
そうなってることを、祈ってます。