海を臨む岬。
海の見える部屋。
貝殻、鮫の歯、削れて丸くなった硝子。
今週のお題「住みたい場所」
山育ちの私は、海に憧れた。
海の近くに住みたいと思った。
でも、憧れは憧れにすぎず。
遠くから見る海は、美しく。
子どもを海水浴にも、連れていく。
嫌いなわけではない。
ても、水族館の魚を、綺麗と思えず。
海に見える魚の影は、恐ろしく。
海の深さも、神秘的というより、恐怖だ。
山で育ったから、仕方がない。
海を身近に感じれず、育ったから。
海は、本当に怖いのだ。
今は、安心できるこの、山の近くで。
変わらぬ日々を、送りたい。
子どもを育て、見守り。
やがて旅立つ子どもたちが、帰る場所。
日本中を、旅する生活に
憧れたことも、あったけど。
家なんか要らないと、思ったことも。
また、車を運転したくない、一心で。
都会に暮らしたい時期もあった。
それでも結局は、山間の田舎を選び。
暮らしている。
いつか、引っ越すとしても。
似たような景色を選ぶ、自信がある。
人は、幼い頃に見た景色を、
愛するようになる。
そう、聞いたことがある。
だからもう、そういうものなのだ。