10才になる、小学4年生の、次男ムーン。学校で、2分の1成人式があった。
校長先生から、2分の1成人式の証書を一人ずつ渡してもらった。小さい頃の写真を貼って、記念の色紙を作った。
そして、親子で用意した、手紙を交換した。
ムーンは、がんばり屋の、のんびり。でも、理解が追い付かなくなると、後ろにひっくり返り、体を突っ張らせ、動けなくなり、泣く。わざとやっているようにしか、見えないけど。それが、彼のパニック状態らしい。見れば見るほど、腹が立って、全く理解できない。
だから、本当に、好きになれない子だった。
普段が、とっても素直ないい子なので、よけいに、いい子でない状態が、腹立たしい。
発達障害のこどもの育て方に、望ましい行動を誉めて、望ましくない場合は、放っておく、というものがある。それを、言い訳にして、パニックになって泣いているムーンをほったらかした。望ましくない泣き声を、無視した。
間違っていた。必要なのは、悲しみや怒りに、共感してあげること。気づいたのは、ムーンが年少の頃。何度も読んでいるはずの、発達障害の子の育て方の本。図書館で借りて、改めて読み直したとき。間違えてた、と、思った。
それからは、泣いているムーンに、とことん付き合った。ずっと、そばにいた。始めは、1時間も続いた。途中で、家事もしたりしながら、泣き止むまで、できるだけ傍にいた。
いつまで、続くんだろうと思いながら、待った。小さい頃から、ケアできずにいたんだ。時間がかかって当然なんだ。と、あきらめ。何年かかっても、付き合うつもりでいた。
同時に、かわいいムーン、と、言い続けた。嘘でも、1番かわいいと、言うことにした。
すると、1年も、かからず、1ヶ月程度かな?少しずつ、泣いている時間が短くなった。数ヶ月たつと、傍にいることが、負担にならないくらい、短くなった。
そのうち、本当にかわいいと、心から言えるようになった。
そして、2分の1成人式の手紙に。
僕を、かばってくれてありがとう。大切だと言ってくれてありがとう。
と、書いてあった。
ずっと、ムーンに対しては、後悔しかなかったけど。本当に、ホッとした。
そして、もっと、ムーンが好きになった。