八月六日、朝、6時に目が覚めた。
ラジオ体操、と、一瞬思って。
あ、登校日だから、休みって。
ホッとして、だらだらして。
あっ!!
登校日、児童館、お弁当!!
弁当を作らなくては!!!
慌てて起きた。
今日は、学校よ!!!
小学生組を起こし。
お弁当を用意する。
眠そうに、ボーッとしながら。
リビングに入る、小学生2人。
6年生次男ムーンのため、
食パンをトーストする。
夏に食欲を失う、
3年生末っ子ライトには、
コーンフレークと牛乳。
ズルいって、言うから。
コーンフレークは、3人分。
弁当が用意できたら、水筒のお茶。
準備物の確認に、つきあって。
7時20分、
いってきまーす。
家を出て行く。
学校まで、歩いて見守ることもあるけど。
久しぶりの学校で、浮かれて、
走って行くから、手を振った。
今日、見守りは、いらないみたい。
しばらくすると、
中学生の長男が、ダルそうに起きてくる。
ちょっと前までは、ずっと、
自分の部屋にいたのだけど。
気がつくと、家に自分一人しかいない。
と、気づいて、不安になるらしく。
一人で留守番するにしても。
誰がいつ、家を出たかを、知りたがる。
だから、リビングに来るようになった。
めんどくさそうに、フレークを食べる。
ゲームを、片時も手放さない。
今日は仕事?
うん、仕事に行くよ。
午前8時。テレビの画面。
広島平和公園。記念式典が始まった。
家の回りに、木はないから。
聞こえてくるのは、蛙や虫の声だけ。
でも、テレビ画面からは。
うるさいほどのセミの声が聞こえる。
今日も、暑くなりそうだ。
そう、あの日も、暑い夏の日だったと聞く。
8時15分。
黙祷。
家事をする手を止めて、目を閉じる。
広島の町の、1軒1軒の家に。
ごくありふれた、日常の朝があった。
子を見送る、母があり。
会話をする、親子があった。
明日もまた、
同じように過ごすと思っていた。
そこに、一発の原子爆弾が落とされた。
全ては、変わってしまった。
長崎の町にも。
空襲で焼けた、多くの町にも。
私たちのように、生きる人々がいた。
刀で斬り合っていた時代にも。
巻き込まれる人々はいた。
争いを繰り返しながら、
人を殺す技術も、磨かれていった。
より、多くの人を殺せるように。
平和な国がある、一方で。
紛争に絶えない地域がある。
どこかで、戦争の道具が開発されている。
争いのなくなる日は、来るのだろうか。
それでも、平和を願わなくてはいけない。
子どもたちに、残さなくてはいけない。
平和な日々と、平和を願う心を。